『長妻昭厚生労働相は12月23日、来年度の診療報酬の改定率をめぐり藤井裕久財務相と折衝し、医師の技術料などに当たる「本体」部分と、「薬価・材料価格」を合わせた診療報酬全体を
0.19%引き上げることで合意した。薬価・材料価格に関しては合計
1.36%引き下げ、本体部分はこれを上回る
1.55% 引き上げる。診療報酬全体での引き上げは、2000年度以来10年ぶり。』
医師が手術を行うと材料費とともに技術料としての手技料が発生します。医療費が増大しているのは事実ですが、医療費がかかる高齢者の割合が増えているのも事実です。医療技術はどんどん発達して、高度化、細分化されているのですが、医療費を押さえようとして、診療報酬の技術料はこの10年間下げられ続けていたということです。またその手技料を決定する項目も細分化していないため、高度な技術、最先端の治療手技を用いたらかといってそれに見合う手技料が上乗せされる訳ではありません。その割に医療事故が起こると視聴率をとるためかニュースキャスターが躍起になって責め立てる絵がテレビで流されます。すべての医師が最先端の技術を身につけていないとだめで、24時間最先端の医療が受けられて当然と言う風潮を作り出す報道の仕方はどうも???そんなに簡単に医師の技術が身に付く訳でもなく、とりあえずのレベルは到達しますが、なかなか成熟したレベルに到達するには時間がかかります。医師が自分の技術を磨くのも大変な時代で、聖人君子の志がないとできません。
病院勤務では、拘束時間も長く(これは病院によります)、公立病院では恐ろしく給料の安いところもある。となると勤務医なんかやっとれるかーっということで手術の腕のたつ先生がどんどん開業して行きます。この病院の整形外科では、年に900件の手術のうち70件の緊急手術、平均すると週に1−2件の緊急手術が時間外に行われています。予定手術をたくさんこなしていてもある程度予測ができますが、緊急の場合はそうはいきません。そして、今日はあかんでという日に限って緊急手術が入ります。そんな整形外科の病院は珍しいのですが、まあ家庭崩壊の危機を乗り越えながら三児の父をこなしています。ただそれなりの志と労力を費やしている自分としては、それに対する正当な対価で評価されたいとは思いますが、現行の制度ではその仕事の内容まで評価する術はなく難しいですね。そんなことを考え出すと仕事ができなくなるので・・・年末の独り言でした。